January 21, 2012
"飛び込まなきゃ・・・!あの渦に!渦巻きに!
ごっちんも私も、息を呑んだ。

だけど、そこはもう、小学校の長縄とびみたいでね、
入るタイミングが・・・ちょっと・・・

って思ってたら、ごっちんが「何かやれることないですか!」
って飛び込んだ。

ごっちん、憧れるわー。
惚れるわー。
今の間合い完璧だわー。


したら、先輩も、ゆっくり頷いて、
「ごっちん、じゃあ、手術部位の剃毛、お願い」
つったわけ。

そしたら、ごっちんがね、あの憧れのごっちんがね、
超マゴマゴしてるの。マゴついちゃってるの。

「あの・・私・・剃毛したことなくて・・・」つってんの。

もう、そのボールいただき!とばかりに飛び出ましたよ。

「私、できます!」と。
「私、剃毛できます!」と。
「この加藤に、剃毛はお任せあれ!」と。

したら、先輩が、じっと私の名札を見てから、
「加藤さん、お願い!」
って頷いた。

ごっちんが、ちょっと悔しそうな顔をして身を引いたので、
私は何ならもう江口になりきった感じで、

「ごっちん、剃毛、手伝ってくれない?」って声をかけた。
そしたらごっちんも「はい!」って嬉しそうに言うので、

「グズグズすんなよー」「加藤さんこそー」みたいな感じで、
ドラマティックに和解しつつ、

ごっちんに「俺の背中みとけ」って感じで、ドクターにかっこよく
「先生、剃毛部位は?」ってデキル女風に確認して、
「全範囲だ」って言われて、1発で頷いた。

セーフ。
先生の言ってることが、1回で聞き取れた奇跡。


前の病院では2年間消化器外科で働いてた。
どんな剃毛にも立ち向かってきた。

どんな湿地帯もアマゾンも、きれいに剃りあげてきた。

私は、道具をすばやくそろえて、ごっちんを従えて、
患者さんの病室に飛び込んだ。

そこには、ちっちゃいおじさんが居た。

緊急の手術を前に、やや緊張の面持ち。苦しそうではない。"

不活性で怠惰なアタシの肉体の神秘